わたしと姫ちゃんが談笑しながら教室で昼食をとっていたら、いつの間にか目の前に早見君が顔を赤くして立っている。何か言いたげな表情に胸ポケットに手を突っ込んでわたしを凝視している。

なんだろうな。朝から不可解すぎるよ。その様子に姫ちゃんも気づいていたようで姫ちゃんが早見君につっかかった。

「何のようだ、朝から千鳥の前。ウロウロしやがって、お前、気持ち悪いぞ」

そう言われた早見君は何か言い返そうとするも言葉を飲んで胸ポケットか茶封筒を取り出すと、そのまま、わたしの前に置いた。

「何？」

わたしは目の前に置かれた茶封筒を手に持って早見君に尋ねた。早見君は照れくさそうに後ろ頭をかいた。

「何って、ほら、あれだ、慰謝料ってやつ」

そう言われてわたしは茶封筒の中身を確認する。おお、諭吉さんが三枚も入ってるよ。こんな大金見るのはお年玉ぐらいだよ。