香りさんが吐き捨てるように言ったのには訳がある。あの、わたしの寝言のいっけんからわたしは香りさんにあまり学校では話しかけないでと、結構きつく言った。

「ごめん、ついつい浮かれてしまった、気をつけるよ」

香りさんはそう言うと、次の日から本当に口数を減らしてくれた。と、いうよりも香りさんは学校に飽きた感じがする。それは飽きるよね、香りさんを認識できるのがわたしだけだし、そのわたしもあまり相手をしてあげられないのだから。空気扱いだもんね。いじめみたいだ。

昼休みに入ってわたしは姫ちゃんの席に駆け寄った。

「姫ちゃん、お昼ご飯食べよう」

「そうだな、千鳥のおかずでもつまむか」

「うん、いいよ」

姫ちゃんも少しだけ、から元気なんだよな。あの日、早見君にコテンパンにされたことがショックなんだろうな。本当なら香りさんの話しをするつもりだったけど、あまりの落ち込みように話しどころではなかったもん。姫ちゃん元気だして。