どうやら、自己紹介的な事はもう済んでいる様子でわたしは姫ちゃん以外の名前を知る事ができなかった。どうせ聞いたところですぐに覚えれるほどわたしの頭は賢くないのでいいのだけれど。

それよりも授業中に話しかけてくる香りさんがうるさくてかなわない。

「なあなあ、隣りのクラスの男のほうがレベル高いぞ」

だからなんだっていうの、クラスは自由にはならないでしょ、もううるさくて授業に集中できないよ。

「なんだよ、黙りこくって」

もう限界、はしゃぎすぎだよ。わたしは我を忘れてやってしまった。

「もう、うるさーい」

クラスメート達が一斉にわたしを見た。先生が少し落ち込んだ様子でわたしに言う。

「なんだ、わたしの声が大きすぎたかね」

年老いた先生が寂しそうにわたしを見つめる。違うんです先生。わたし、そんな事いうような生徒じゃないんです。なんて言えるはずもなくて、わたしは「すいません、寝ぼけてました」と言った。