少しの間、黙って歩くと、あの脇道に差し掛かった所で姫ちゃんが口を開いた。わたしを心配そうに見て。

「大丈夫か?千鳥、気分悪くないか?」

気分悪い、なんで?わたしは脇道を見て思い出すことは一つだよ。あの金髪の不良のイケメン君のことだよ。

「大丈夫だよ、姫ちゃん、あの後、姫ちゃん、喧嘩してなかった?」

姫ちゃんは空手の構えをとって、口角をあげた。

「ああ、千鳥を傷物にした奴にはしっかりとお仕置きしてやったさ、男の癖にびーびー泣きやがったぜ」

そんな事、どうだって態度で言われても恐いだけだよー。わたしは平和主義なんだよ。ん?びーびー泣かせたって、あの人のこと?

「姫ちゃん?誰を泣かせたの?あの金髪の不良?」

「あいつは捕まえることができなかった。わたしが仕置きしたのは主に千鳥を突き飛ばした奴だ」

ああ、良かった。わたしは胸をなでおろす。すると今まで黙っていた香りさんが急に声をあげた。