その日はいつもより空が青かった気がする。
いいや、赤かったような気もした。
いつもそうなんだ。思い出そうとすると霧がかかる。

「ねえ。」

呼びかけたところで、ここには誰もいない。
私の問いに答えてくれる人はもう、いない。

普通の一軒家の一部屋。
四畳半のちょっと狭い部屋。
正方形でルービックキューブみたいだ。
むかし父におねだりして買ってもらったシングルベッドに横になっている。
窓から日差しが入って、眩しくとも体を起こす。

今日が始まる。