「あっ、ねぇ相良くん。」
「何ですか? 九条先輩。」

 九条先輩は、少し困った顔で僕に問い掛けた。

「そのー、さ。 あの、相良くんの偏差値ってさ……。」

 口下手な先輩をすぱっ、と切るように僕は真顔で答えた。

「38っすね。」
「えっ俺と変わんねぇ……。」
「えっ。」

 そこまで先輩も馬鹿だったとは……。

「本当に技術と顔と筋肉だけなんですね。」
「うん、……? えっと筋肉って?」

 先輩は困惑し始めたので、ご丁寧に僕が説明してあげた。

「知らないんですか? 今、九条先輩と言ったら筋肉で有名なくらいですよ。」
「えっ、それテレビ?」
「んー、ネットですかねぇ。 先輩、自分エゴサーチした事ないんですか?」

「……、えごさーち?」

 これ以上、先輩に説明するのを諦めた。