「一番、阿南 忍(あなん しのぶ)。趣味は素手でのタイマン。…よろしく。」

 なっ、何かめっちゃベタの来たんですけど。…大丈夫かこれ。

「ほら次、二番。」

 また、直人先生が急かした。







「ほい次、14ね~。」

 もうやる気を無くしたのか、直人先生は適当に流し始めた。

「14番、相良逢人です。えと…、テナーサックスが吹けます。よろしくお願いします。」

 直人先生が、こっちを向いた。

「……来るか? ジャズバンド部。」
「は、入っても良いのならば……。」

 すると、直人先生は微笑んで言った。

「んじゃ、決定。明日からテナー持ってきてね。」

 直人先生、案外鬼畜なんだな…。

「ほいじゃ次、15ね。」

 後ろの佐久間くんが立つ。

「15、佐久間…冬樹です。得意はアルトサックスです。…ヨロシクです。」

 その佐久間くんのカタコト感に、やっぱりかと思う。

「佐久間はフランスから引っ越してきた。日本に来るのは初めてらしい。仲良くしてやれよ?」

 え、初めてにしては日本語上手くない…?

「次~、16。」

 直人先生は、また気だるげに流し始める。