逃げようとしてもグッと首の後ろを固定されて逃げられない。 唇を割り込むようにして入ってきたあたたかいもの。 とらえて、絡めて、翻弄される。 「…ぁっ、」 声が漏れる。 息ができない。 苦しいっ… 「……っ……、オエッ…!!」 やっと解放された、と思った直後に襲ってきたのは地獄のまずさだった。 やっぱり間違えてなかった、ホンモノだった…! 「はは、しつれー」 ハヅキが笑う。いつもの笑顔。 スッと手が伸びて、私の目尻にたまった涙を拭った。 「…泣くほどよかった?俺とのキス」