ハヅキのシャツのすそをつかんで引き留めたのはほとんど無意識。
「……なに?」
ハヅキは一応足を止めてくれたけど、振り向かないし。
私も何を言うか決めてなかったから黙る。
「…あのさ、」
ハヅキが背中を向けたまま、何かをこらえるように言う。
「…こないだから…なんなの?俺のことからかってんの?さぁちゃんのくせに」
「ち、違…からかってなんか」
「っじゃぁ触んなよ」
突然ハヅキに乱暴にシャツをつかんでいた手を振り払われた。
「…もう…限界なわけ、こっちは。
もうさぁちゃんの近くにいんの、しんどい。…顔も見たくない」