――10秒、たったか、たたないか 「…ありがと」 京星くんがゆっくりと私から体を離した。 「悪かったな、変なこと頼んで」 「う、ううん…」 窓際の机の上に置いてあったカバンを手に取る京星くん。 まるで何事もなかったみたいに、いつも通りに肩に背負う。 「紗英」 「ん?」 そう私を呼ぶ声もやっぱり、いつも通り、優しかった。