「うそっ!同じ高校だったの!?」
「らしーな。俺もさっきの自己紹介で知ったけど」
「自己紹介…!」
私がハヅキの変なちょっかいのせいで全然聞いてなかったやつだ…。
「1年のときは何組?」
「1組」
「そうだったんだー!私は5組…!」
いくらクラスが離れてるとはいえ、初恋の人に気付かない私バカ!どんだけ渓渡しか見えてなかったんだろう。
「…なんか変わってねーなー、紗英」
京星くんが笑うと、八重歯が見えた。
あー、この八重歯。なつかしい…
ほんとに京星くんだ。
保育園の頃。
京星くんは園児たちの中でもリーダー的存在で、かっこよくて、やんちゃで、女の子みんな京星くんのことが大好きだった。もちろん私も。
「きょーせーくん!これあげるー!」
おやつにたまごタルトが出る度、私はせっせとそれを貢いで。
「ありがとな!さえ!」
ちょっと偉そうに笑う京星くんの笑顔が大好きだった。
私はもっと京星くんに喜んでほしくて
「きょーせーくん!ハヅキのもあげるー!」
無理矢理ハヅキからぶんどったたまごタルトも、貢いでいた気がする…。