あなただけ見つめてる


=数年後=

「パパー。ママはー?」

大きな縫いぐるみを持って寝室に来た可愛い娘。
目をこすりながら来ているところを見ると
眠いのを我慢して紗菜を探しているんだろう
だけど、紗菜は

「ママは病院にお泊りなんだよ?」

「やだー!さきも、ママの所に行くのー!」

ぐずりだしてしまった咲姫。

「咲姫。ママの所に行ったら
ママのお腹の中にいる赤ちゃんに笑われちゃうぞ?
お姉ちゃんは泣き虫だーって」

「いいもんっさき、なきむしでもいいもんっ」

いいのかよ

「でも、ママは咲姫が泣いたら悲しくなるだろ」

「うん」

「それと一緒。ママだって、咲姫と一緒に居られないのは寂しいんだよ。
ちゃんと寝て、元気な姿を見せてあげなくちゃ。
ママだって心配でママが寝られなくなっちゃうだろ」

「う・・・ん」

「明日になったら、ママに会えるから。
今日はパパで我慢してくれな」

すーっと寝息を立てて寝始めた咲姫。

普段、咲姫が寝静まったころに帰ってくるからか
紗菜がいない今は、家で在宅勤務をメインにしている。