あなただけ見つめてる


すぐに運転席から来たかと思えば
後部座席から降ろされ、助手席に移されたあたし

「何で?」
「何が」

「何で、あたしが助手席に」

「お前は俺の女だろうが」

俺の、女・・・?

運転をしながらでも左手は
あたしの手を握ったままで

着いたのは、高級マンション

「ここは?」

「俺の家」

!?
やっぱりもう、住む世界が違う人なんだね・・・

「それと、紗菜が帰ってくるべき家」

「え?」

「その前に紗菜に変な虫がつかないようにこれをつけとけ」

そのセリフ・・・
と指輪の渡し方

「ど、して?」

「当り前だろ?高校も、お前に変な男を
寄り付かせないために、同じ高校にしてたんだから」

!?

「言ったろうが。
将来、俺の横にいるのは紗菜だけで十分だって」

「・・・っ」

「小父さんから連絡貰ったときはびっくりしたけどな」

え?
お父さんから、連絡来てたの?

「紗菜が日本に帰るから。って」

車から降りても、手を放してくれそうにない結城。
エレベーターに乗って着いたのは最上階。

「紗菜」

「え?」