丸坊主で、首にタオルを巻き、ズボンの裾を膝下まで捲り上げうちわを仰ぐその姿は、まるで私のお父さんみたいで、実におじさんじみていたけれど、振り向いた顔を見た瞬間、
『あ、若い』と、そのちぐはぐさに思わずどきっとした。

少し太めの眉は目尻まで長く、平行に切れ長の目が、私を見た瞬間横ににゅっと伸びた。
「おう。」うちわを持った手をそのまま上に挙げて、まるで友達に挨拶をするかのような第一声に戸惑い、
頭を下げながら
「あ、はずめまして。」
と、噛んでしまった。ものすごい訛りみたいになった私は恥ずかしさでそのまま自分の靴先を見つめるほかなく、バイトしようなんて思うんじゃなかった、と早くも後悔の念に駆られることとなったが、坊主頭のその人は、一瞬止まった後、初対面のくせに腹を抱えて無邪気に笑っていた。

つられて私も笑うしかなかったけれど、そのうち恥ずかしさが吹き飛び、
「あ、すいません。今日からバイトすることになりました、名倉と言います。」と続けた。