親に、頼むから公立高校に行ってくれと懇願され、言わずもがな家のお財布事情は重々承知していたので、私もそのつもりだった。

ただ、もともと頭の出来は良くなく、面倒くさがりな性分がたたって、中学三年生の夏休みから飛び込みみたいな形で通い出した塾の集中講座程度では、公立高校だと地域で一番レベルの低いところでギリギリだと当時の担任に言われた。

そこは、昔あった城跡に建てられた創立100年を超える古い高校で、補修改修を繰り返し現在に至る老舗高だが、何世代か前には、一時期いわゆるヤンキー達の常連校となってしまった。

その為、校則や制服が改正されて今は、すっかり大人しくなったものの、学力はそんなに必要ないが、無難で地味な高校と化し、あまり人気がなくなった。

進学校でもなければ、制服が可愛いわけでもない。
自宅が近い生徒は自転車通学が出来るが、
離れた地域からの電車通学は、最寄り駅が遠い為バスを乗り継がなければならず、不便な場所にあった。