流石に早く着きすぎたかもしれない。



家を出る前から気づいていたが、時間をかけて行けば大丈夫だろうと思っていた。
でも、案外道は空いていて信号もあまり引っかからなかった。




約束の時間まであと一時間。
どうやって時間を潰す?




こんな家の前でずっと待っていたら、近所の人にストーカーだと思われるかもしれない。
かと言って近くに時間を潰せるような所もない。




さぁ、どうする。






「あれ、叶斗?」



座り込んだ瞬間、愛しい声が聞こえた。



驚いて顔を上げると、丸い目を大きく見開いた光凛の姿があった。
そんな姿さえも可愛いと思ってしまう。




「どうしたの?待ち合わせまであと一時間もあるのに」





まさか、会いたくて早く来たなんて言えない。




そんな恥ずかしいことが言えるのなら、もっと素直に気持ちを表現している。





「道が空いていたからな」



我ながらうまい言い訳だと思う。
実際道が空いていたのは事実だし。
それが真実かどうか、光凛に確かめる術はないし。




「そんなこと言って。本当は早く会いたかったんじゃないの?」