最初は叶斗のためだった。
親友で幼馴染である叶斗に幸せになって欲しくて、ただ近づいただけだった。




「ねぇ、藤宮さん。俺と友達になってよぉ」





もちろん、藤宮さんのことは可愛いと思う。
学校中の男子が騒ぎ立てるのも分かる。






でも、俺にとって女の子はみんな同じ。
俺を楽しませてくれる娯楽に過ぎない。
だから、藤宮さんもその一部だった。






「うん。私も成瀬くんとお友達になってみたいと思っていたの」






叶斗のために、藤宮さんを利用するのは簡単だった。
何気ない日常会話から、あの子の名前を聞き出すことにした。






叶斗一人じゃ、何もしようとしないんだもん。





まぁ、恋愛初心者だから仕方ないけど。