あ、そういえば光凛。さっき私が選んだ服着ている。




着替えてすぐに探しに来てくれたとはいえ、これは結構危ないかも。





「うん。必死で、自分がどんな服装なのか忘れていたよ」




まるで何も分かってないみたいで、光凛はえへへと笑ってみせた。
こりゃ絵に描いたような鈍感だね。




「そっか。俺は良いと思うけど、叶斗怒っちゃうかも」





「え?」




とんでもないことを言い出す成瀬くんの口を塞いで、慌てて光凛をさっきの試着室まで連れて行った。




後ろを振り向いて「余計なこと言わないで」って口パクしたら、ごめんと顔の前で手を合わされた。
本当に反省してんだか。





「あの、愛依?感想、言って欲しいんだけど」






試着室に押し込め、カーテンを閉めようとしたら、光凛が不安そうな声で言ってきた。






あ、そっか。着替えさせるのに必死で忘れていた。




「うん、可愛いと思うよ!」





「ほ、本当!?さっき愛依を探している時、周りにとても見られたから不安だったんだ」





あー、やっぱり分かってなかったんだ。




ここまで鈍感だと、桐ヶ谷くんも大変なんだろうな。






「ほら、早く着替える!」



「うん!ありがとう愛依、これデートで着て行くね!」




光凛に呼び出された時から何となく桐ヶ谷くんのことなんだろうなってことは分かっていたから、行きの電車の中で桐ヶ谷くんが好きそうな服必死に考えたんだから。
ま、それは内緒だけど。







私も成瀬くんと素敵なクリスマスを過ごせますように。