「大丈夫?」
不良達の姿が見えなくなって、成瀬くんがしゃがんでくれた。
成瀬くんがどんな表情かなんて見ている余裕はなかった。
とにかく早くこの恐怖を打ち消したくて、成瀬くんに抱き着いた。
「愛依ちゃん、気持ちは分かるけど、ここどこだか分かっている?」
「え?」
優しく体を離されて、周りを見るとお店の人やお客さんが物珍しそうにこちらを見ていた。
そ、そっか!
ここお店だった!
人気のない所とはいえお店から見える感じになっているから丸見えなんだ!
うぅ、恥ずかしい……。
「あはは。その感じだと大丈夫みたいだね。良かったよ、愛依ちゃんにけががなくて。いざとなったら呼んでね?俺、いつでも飛んでくるからさ!」
「うん!」
頭に成瀬くんの優しい手が触れた。
人に、好きな人にやさしくされるのってこんなにも嬉しくて落ち着くものなんだ。
ねぇ、光凛。
私も最愛の人見つけたよ。
だから、みんなで幸せになろうね。

