成瀬くんに守られているって思うだけで、こんなに嬉しくなっちゃうなんて。
光凛の気持ち、分かった気がする。
どれだけ怖い思いをしても、好きな人が助けに来てくれたら怖い気持ちなんか一瞬で吹っ飛んじゃうんだね。
「でも、ここじゃお店の人に迷惑になっちゃうし、どこか行く?あ、でもこの近くに喧嘩ができる所なんてないよねぇ。どうする?どこに行く?」
そんな、どこか行きたい所ある?みたいな感じで言われても……。
でも成瀬くんの脅し効果がようやく効いてきたみたいで、不良達は怯み出した。
って、最初から怯えているみたいだけど。
「ここで充分だっつんだよ!」
「だーかーらー、お店の人に迷惑だって言ってんでしょ。根クズな君達にはそんなのも分かんないのかぁ」
もう脅しじゃなくて、からかいになっているよ。
でも、その成瀬くんのからかいで不良達がムキになっているのが面白い。
「てめぇ!あんま調子に乗っていると殺すぞ!」
「あーもううるさい。大きな声出さないでよ。君達こそ、いい加減懲りないと殺すよ?」
そうだよ。いい加減懲りてどっか行ってよ。
じゃないと、怖くてどうにかなっちゃいそうだよ。
成瀬くんが手を握ってくれているけど、怖さは尋常じゃない。
手がまだ震えている。
「ちっ。おい、行こうぜ」
不良達は舌打ちだけして、去って行った。
な、何よあれ……結局何がしたかったわけ?

