日曜日は底冷えのする寒い日だった。

 当日になっても、靭也に会いに行こうか、やめようかまだ迷いは晴れない。

 そろそろ期末考査も近かったので、こたつで勉強していたが、集中できるはずもなくずるずると時間が過ぎていくばかりだった。

「おお、寒い」買い物から帰ってきた母が、コートも脱がずにこたつに手を突っ込んできた。

「雪が降りそうなぐらい寒いわよ。外は。あら、やっぱり降ってきた」

 その声を聞いて窓の外を見ると、ふわふわと牡丹雪が舞いはじめていた。

 雪がこのまま積もったら……


 そう思ったとたん、血の気が引くのを感じた。

 電車が停まってしまって、靭也に会いに行けなくなる。

 夏瑛は急に立ち上がると自分の部屋にかけこんだ。

 そして、5分もかけずに支度を終え、玄関に急いだ。

 「こんな寒いし、雪も降ってるのにどこ行くの?」

 母が不審そうに問いかける。

 そのときにはもう扉に手をかけていた夏瑛は、大声で「上野!」とだけ叫んで扉を閉めた。