「がはっ……」

俺の体が、地面に叩きつけられる。その衝撃で、刀を落としてしまった。

「……おい、燐!」

煌矢の心配そうな声が、耳に届く。俺は「……大、丈夫……」と言いながら体を起こした。

その時、爆発する音が聞こえ、俺らは一斉に音がした方を見る。

「……やっと取り返せたの?兄ちゃん」

そこには、俺の羽織の色を逆にした感じの羽織を羽織り、赤に黒のグラデーション(こっちも俺と逆)の刀を肩に担いだ陽太が立っていた。

「……陽太、何で……?」

「いつも以上の悪霊の気配がしたから、気になって来たんだ」

そう微笑み、刀を構える。

「兄ちゃん。周りの悪霊は、僕が一掃するから目の前の悪霊に専念して」

「あぁ。ありがとな」

陽太に微笑み、立ち上がると刀を拾い上げた。いつの間にか、斬られた傷は塞がりかけていた。陰陽師は、攻撃の能力と同時に回復の能力が着くことが稀にある。それが、陽太。

陽太は、炎使いでありながらも回復役。知らないうちに、陽太がこの傷を治してくれたのか。……あの短時間で、ここまで……大したものだ。

「行くぞ。皆、危ないから下がってろ!」

俺は刀を構え、悪霊を見据える。悪霊は、さらに数を増やした。

「……玉響なる火神よ、舞い踊れ。狂鳴(きょうめい)炎天の舞」