「じゃあ、ジェットコースターから。いい?」
「はい」

いくら恐がりの私でもこの程度なら大丈夫。

「よし、行こう」

白川さんに手を引かれ、あまり並ぶこともなく順番はやって来た。

カタンカタンカタン。
小さな金属音を立ててジェットコースターが動き出す。

今日はパンツと低めのパンプスにして良かった。
スカートなんかで来たら大変だったと思う。
ゆっくりと傾斜を上がるジェットコースターを見ながら、そんなことを考えていた。
この時はまだ余裕だった。

カタン。
頂上まで上がり一拍動きが止った後、ジェットコースターが加速を始めた。

ん?
ヤダ。怖いかも。

コース自体はそんなに大きくはないし、回転するわけでもないけれど、ガタガタと揺れる振動が、すごく怖い。
少し左右に振られるだけで、飛んで行くんじゃないかって気がする。

カタン。
金属音を立て、大きく右へのカーブを切った瞬間、私の体にもGがかかった。

「キャアー」
思わず声が出た。

怖い怖い。
無理、誰か止めてー。

「キャアアー」
1度発した悲鳴はもう止らないかった。