日曜日。
私はおしゃれをして家を出た。

そういえば、昨日も同じように出かけたっけ。

「一華さん」

家の前の道路に車を止め、白川さんが立っていた。

「お待たせしました」
「いえ、僕も今来たところです」

お見合いの席で見たのとはまた違う、カジュアルなパンツとTシャツにジャケットを羽織った格好。

うーん、さわやかな二枚目。
高田よりもちょっとだけ線が細い分、スマートでインテリな印象。THEお医者様って感じね。

「で、どこへ行きましょうか?」
「お任せします」

別に、投げやりなわけではない。
就職してからあまりにも忙しくて、デートらしいデートなんてしていないから最近の流行がさっぱりわからない。
そういえば、デートどころかここ6年特定の彼氏がいたことがなかった。
うわー、私って女として死んでる。

「遊園地でいいですか?」
「え?」

正直、驚いた。
30前のいい大人の初デートが遊園地って。
もう少し落ち着いた行き先があると思うけれど。

「イヤですか?」
「いいえ」

イヤって訳ではない。
ただ、びっくりしただけ。

そもそも、今日のデートを白川さんが了承したのも意外だった。
白川さんの方から断ってくれると思っていたのに。

「どうしてお見合いを断らなかったんですか?」
唐突だなあと思いながら、どうしてもそれを聞きたかった。

「仲人をしてくださったのは古くからつきあいのある奥様でね。断ることができなかったんです。一華さんはどうして断らなかったんですか?」
「それは・・・」

父さんと兄さんを説得する勇気がなかったから。

「とりあえず、今日一日楽しみましょう」
「はい」