再びリビングのソファーまで肩を貸し、私達はやっと向き合って座った。

「どうしたの?いつから痛むの?」

週末までは普通にしていたはずだけど。

「昨日の接待ゴルフで歩きすぎた」
はあ?

それって、あまりにも運動不足。
でも、待って。
この傷。これはかなり以前のもの。
そういえば、高田はスポーツをしない。
会社のイベントで、サッカーや、登山、サイクリング。何度誘っても断っていたっけ。
それに、普段から2フロア以上の移動には階段は使わない。
どんなに混んでいても、エレベーターを使う。
もしかして、この傷のせいなの?

「病院には行ったの?」
「イヤ」
「行かなくちゃ」
「ああ」
言いながら、またごろんとソファーに横になった。

「私でよかったら、一緒に行こうか?」
「・・・」
「ちゃんと病院に行かなくちゃ、この調子じゃ明日仕事に行けるかわからないわよ?」
「ああ」
返事にも元気がない。

「高田ッ」
らしくなく、ウダウダとしている高田に声を荒げてしまった。

「わかった。・・・タクシーを呼んでくれ。その電話でフロントにかければ呼んでくれるから。すまないが、また肩を貸してくれるか?」
「当たり前じゃない。それに、タクシーなんていらないわ。高田の車を私が運転するから」
「いや・・それは・・・」
「何?私の運転が信用できないって言うつもり?」
「そんなことは・・・」
「いいから、保険証と鍵。さすがに短パンでは行けないから、着替えは?」

てきぱきと準備をし、ジーンズに履き替えた高田を支えながら、私達はマンションを出た。