「おはようございます。一華さん」
「可憐ちゃんおはよう」

週明け月曜日の朝。
可憐ちゃんは今日も元気。
一方私は、疲れがとれていない。

「大丈夫ですか?」
「うん」
と言ったものの、正直疲れている。

上半期の決算シーズンを迎え売り上げはプレッシャーになるし、ノルマもドンドン厳しくなり、本気で逃出したい。

「鈴木チーフ、高田課長知りませんか?」
始業時になっても現れない高田を、小熊くんが探している。

「午前中に取引先へ一緒に行く予定だったんですが」
「ふーん」

何か知りませんかと私を見る小熊くん。

「知らないわよ。そんなに心配なら電話してみたら?」
「えー」
不満そうな声。

「何よ?」
「課長、電話の声が怖いんですよ」

怖い?高田が?そんなバカな。

「小熊くん、誰の話をしてるの?」

あの温厚な高田が怖いなんて。人違いしてない?

「チーフは知らないんですよ。部長はすぐに怒鳴って怒るけれど、課長は静かに怒るんです。もちろん怒られるだけのことをするのは俺なんですけれど。無表情になって、『いいから、黙ってやれ』って言われたら絶対に逆らえません」

「へー」
部下から見る高田は意外と鬼上司なのね。

「それは小熊が悪いからでしょう?」
可憐ちゃんも意外だなって顔をしてる。

「一華さんは課長が怒ったところ見たことありますか?」
「えっ」

高田が怒ったところかあ。
なくはないけれど・・・

「一華さんと課長ってとっても仲良しですものね。喧嘩とかしなさそう」
「そんなことないよ」

高田はいつも上から目線で私に説教するし、最近はバカだバカだと口癖のように言われている。