そういえば、新人のときにも、今日みたいな事があった。
風邪なのに無理をして取引先周りをして、帰りの電車で動けなくなった。
駅員さんに助け起こされ、連絡先をと聞かれて教えたのが高田の電話。
家に知らせる訳にもいかず、会社にも言えず、他に頼れる人がいなかった。
あの頃は高田だって新人だったわけで、自分の事で手一杯のはずなのに、すぐに駆けつけてくれたっけ。
「無理するんじゃない」
って叱られて、タクシーに乗せてもらった。

あの頃からずっとお世話をかけていたんだね。

あれ?
高田の匂いがする。

今時の夢って匂い付きなのかなあ。
フワフワと雲の上を歩く感覚も、肌に伝わる暖かさも、久しぶりに見たいい夢かも。
このまま覚めなければいいのに。