「生2つ」
高田が言うより先に、注文した。

高田はメニューを見ながら串カツの注文をする。


「「うーん、うまい」」
2人の声が重なった。

休日の昼間から串カツとビールって、最高。

「ほら食えよ。二度付けは禁止だからな」
「わかってるわよ」

豚バラ、アスパラ、ミニトマト。
好きな物を遠慮なく食べ、ジョッキを傾ける。
幸せだなあ。

「あ、それチーズだぞ」
「え?」
「チーズ嫌いだろ?」
「ああ、うん」
びっくりして、ジーッと見てしまった。

「そんな顔するな。何年一緒にいると思ってるんだよ。6年だぞ。1日8時間、週40時間として11520時間。お前の好みくらい知ってる」

そう言うと、プイと目をそらす。
なんだろう、今日の高田は変だ。

テーブルの上に串カツの串でヤマができた。
だんだん気分も良くなってきた。

「飲み過ぎるなよ」
「わかってるわよ」
プイ。

いつの間にか遠ざけられていくジョッキ。
ふん。
「邪魔しないで。まだ大丈夫だから」
「お前の大丈夫ほど当てにならないものはない」
「・・・」

ぐいっと手を伸ばし、ビールを流し込む。

土曜日の昼間からビールを飲んで、気持ちよくなるアラサーってちょっと痛いきもする。
もちろん1人ではできないし、彼氏にも親にも見せる事のできない姿。
不思議だな、高田には平気なんだ。
でも、なんで高田は付き合ってくれるの?
もしかして・・・

「高田は私に気があるの?」

ブーッ。
思い切りビールを吹かれた。

「もー、汚いなあ」
汚れたテーブルを拭きながら、違うんだと理解した。