その後、会議室で小熊くん、高田、私の3人で話した。

「それで、まだやめる気か?」
高田に聞かれ、
「いえ、もう少し頑張ってみます」
小熊くんはすっきりした顔をしていた。

私もホッとした。
これで、小熊くんも一皮むける事だろう。そうやってみんな成長するんだから。

「それじゃあ、1つ報告だ」
高田の顔が少しだけ険しくなった。

ん?

「今後、小熊の指導は俺がする」
「え?」
それは・・・私では無理だって評価なのよね。

「僕はこのまま鈴木チーフの下で」
小熊くんが声を上げたけれど、

「それはできない。会社としての決定事項だから」
「でも、チーフは何も悪くないのに。あんまりです」
「お前が言うな。元はと言えば、お前がまいた種だ」
厳しい言葉。

「鈴木、悪いが理解してくれ」
「はい」

「チーフっ」
「大丈夫だよ、小熊くん。同じフロアにいるんだから何も変らない」
「でも・・・」

私は初めての部下を自分の手で育てる事はできなかった。

「じゃあ、これからも頑張ってくれ」
高田が肩を叩き、小熊くんが立ち上がる。

「ああ、鈴木チーフは話があるから」

え?まだあるの?