翌朝。
いつもより早い時間に、小熊くんは会社に現れた。

「おはよう」
「おはようございます」
少し緊張気味の小熊くん。

9時前には部長も出社した。

「おはようございます部長」
真っ直ぐに部長の席に向かった小熊くん。

「何だ?」
機嫌の悪そうな声。

「昨日は申し訳ありませんでした」
腰を90度に折り頭を下げる。
しかし、
「邪魔だ、あっちへ行け」
部長もそう簡単に許す気は無いらしい。

正直ドキドキした。
小熊くんの事だから、キレて逃げ出すんじゃないかと心配だった。

「申し訳ありません」
それでも頭を下げたまま動こうとしない小熊くん。

「邪魔って言うのがわからないのか」
時々部長に罵声を浴びせられてもピクリともしない。

フロアのみんなもずっと見ている。

かれこれ30分ほど、小熊くんは謝り続けた。

最後には高田が出て行って
「二度とこのような事が無いように指導します」と言い部長を納得させた。