連れられて向かったのは最上階のスイートルーム。

「お前、ここいくらだよ」
つい口に出た。

「私が働いたお金で泊るんだから、放っておいて」
拗ねたように言うと、ソファーに倒れ込む。

随分荒れてるな。

「水をとってくるよ」
そう言って一瞬目を離した。

仕事柄、接待で飲む事も多い。
今までだって、飲み会で一緒になることは珍しくはなかった。
それでも彼女が酔いつぶれる姿を見た事はなく、どちらかというと世話役に回っていた印象。
これだけ酔っ払うなんて、よほどの事があったんだろう。

「なあ、水だけでいいか?何か薬でも・・」
そこで言葉が止った。

「うーん、熱い」
と言いながら服を脱ぎだしていた。

マジか。お前、明日絶対に後悔するぞ。

でも、このまま放置もできない。
すでに下着姿になった鈴木の腕を首に回し、膝裏に手を通すと、抱き上げてベッドルームへと運ぶ。
さすがに、抵抗はされなかった。

「うーん」
背を丸め、ベットの上で小さくなる鈴木。

一体何があったんだ。
布団を掛け、彼女の脱いだ服を片付け、もう一度彼女の顔を見る。

「俺、帰るぞ」
そっと前髪をかき上げる。

かわいそうに涙は止らないらしい。