私と律也さんの結婚は破談となった。

父さんが律也さんのご両親に頭を下げてくれた。


翌週の日曜日、きちんとスーツを着た潤が家を訪れ、

「悠里さんと結婚させて下さい」
と手をついてくれた。

私も一緒に、
「彼と結婚したいんです」
と頭を下げた。

父さんは反対しなかった。

ただ、
「子供はたくさん作ってくれ。出来れば経営陣に本郷の血を残したいんだ」
と真顔で言われ、少し驚いた。

潤と結婚すれば、私は本郷商事を継ぐことは出来ないだろう。
それでも、潤を選んだ。
父さんもそのことは理解してくれたはずだ。

「お父さん。子供をたくさん作って、必ず本郷の名前を継がせます。ですから長生きして下さい」
そう言った潤の言葉に、父さんの目がうるんで見えた。


END