ガタン。
ドアの開く音。
振り返った先に、田川さんが立っていた。

「律也さん」悠里の口から声がもれた。

そうだった、もう一つ問題があるんだった。

「白川さん、少しお話しできますか?」
「ええ」
こんな所を見られて逃げることはもう出来ない。

どのみち、話をつけないといけないと思っていたんだ。
白川さんか、いつもは先生って呼ぶくせに。彼も結構本気って事だ。

「行ってくるよ」
「待って、私も」
悠里がベットを起きようとした。

「悠里は来るんじゃない」
強めの口調で言うと動きが止った。

白衣を脱ぎ、田川さんの後を追う。
人の婚約者をかっさらおうと言うからには一発ぐらい殴られないといけないだろう。
それは覚悟の上だ。