「悠里、少し話をしよう」
点滴も終わりだいぶ落ち着いたのを見計らって、俺は悠里の病室を尋ねた。

「潤、ごめんね。.心配をかけてしまって」
「ああ、2度としてくれるな」
「はい」

「でも、悪いのは私だから、一華さんを怒らないで」
「わかってる。一華ちゃんを叱るのは鷹文の役目だ」
「うん」
悪いことをした自覚はあるようで、悠里は終始うなだれていた。

「お前、本当に田川さんと結婚するのか?」
今さら取り繕ってもどうしようもないと、俺は直球を投げてみる。

「結婚ねえ」
曖昧な返事。

「俺は、お前以外との結婚は考えられない」
「へ?」
悠里が奇妙な声を上げたきり病室内の会話が止ってしまった。

俺は今、お前と結婚したいと言ったんだが、ちゃんと通じているんだろうか?

「ごめん私耳がおかしくなったみたいで、悪いけれどもう一度言ってくれる?」
「イヤだ、2度と言わない」
「え、だって・・・潤、私と結婚したいの?」
「ああ」

ちゃんと聞こえているじゃないか。

「だって、私はわがままだし」
「なおしてくれ」

「気が強くて頑固だし」
「大丈夫、俺の方が頑固だ」

「持病もあって、母さんのように早死にするかもしれないし」
「主治医がついてるから死なせたりしない」

「・・・潤」
「もういいか?俺のものになってくれるな?」

「はい」

ハアー。長かった。やっと手に入れた。
うれしさと安堵で、悠里のことを抱きしめてしまった。

その時。