「お前、どうするんだ?」
鷹文の呆れた声。

わかっている。でもどうすることも出来ない。

「あいつ、強そうで弱いぞ」
「知ってる」

お前に言われなくても、8年も側にいたんだ。


昨日の夜、一華ちゃんと悠里がいなくなったとわかってからの鷹文の行動は素早かった。
クレジットの履歴から2人が山陰へ向かう夜行列車に乗ったことを突き止めると、あっという間に飛行機の手配をして列車が着く前に俺たちは出雲市駅へと先回りした。
さすがというか何というか、鷹文の底力を見せつけられた気分だ。

その後、いくらか状態の落ち着いた悠里を抱え、俺たちは鷹文の用意した飛行機で東京に戻った。
そのまま勤め先の病院へ連れて行き、嫌がる悠里を無理矢理診察し、また泣かせてしまった。

でも、いいんだ。これはお仕置き。
俺を無視し続け、心配かけたあいつにわからせないと。

そして、もう2度とこの手は放さない。