朝10時。
私と悠里さんは出雲市駅に到着した。

昨夜は12時過ぎまで話していて、朝も5時には目覚めてしまい少し寝不足だけれど、綺麗な朝焼けと美味しい空気のお陰でとっても元気。

「悠里さん、とりあえずどこかで朝食を食べましょうか?」
「うん、そうね」

出雲はシジミが名物らしいから美味しい和食のお店でも探してみよう。
そこで、これからのことを決めればいいわね。

「一華さん」

ん？
てっきり着いてきていると思っていた悠里さんが、数メートル後ろで立ち止まっていた。

「ごめんなさい、歩くの速かった?」
「そうじゃないの」
頭を振る悠里さんの顔色が良くない。

「どうしたの?もしかして、体調が良くない?」
「うん。.ごめん」
言い終わらないうちに、悠里さんの膝が崩れた。

嘘。

「ゆ、悠里さん」
支えようとするけれど、私では支えきれない。

どうしよう。
そう思ったとき、

「しっかりしろ」
聞き慣れた声が聞こえてきた。

悠里さんはそのまま抱きかかえあげられ、私は後ろから肩を掴まれた。

え、ええ？

「いいから来いっ」
それは聞いたこともないような怒った声。

私と悠里さんはそのまま車に乗せられた。