潤さんと悠里さんを招いての食事会当日。
準備は前日に済ませていたため、することと言えば簡単な盛り付け程度。
悠里さんも手伝ってくれてあっという間にできあがった。

「一華さん、鷹文、結婚おめでとう」
「「カンパーイ」」

和気藹々と食事会は進んでいくはずだった。
でも、潤さんの機嫌があまり良くない。
どうも、悠里さんともめているみたい。
悠里さんの言葉にも棘がある。

ははあーん。この2人、絶対にお互いが好きなんだ。
私はそう直感した。
でも待って、悠里さんは会社の人と結婚が決まっているって・・・マズイ。
早くしないと、取り返しがつかなくなる。そこで、私は行動に出ることにした。

まずは来週金曜日の寝台列車の切符を手配。
金曜日の夜この列車に乗れば、朝まで逃出すことも追ってくることも出来ない。
大学時代、親に反対されていた友達カップルが親の手の届かないところに逃げようとこの列車を利用したのを思い出して手配してみた。
後は、悠里さんが誘いに乗ってくれるのか、そして潤さんがどんな反応をするのか、それを見守るしかない。
もしも向こうに着いて、朝の時点でやはり婚約者の元に帰るって言い出せば、飛行機で帰ればいい。昼には東京に帰ってこれるんだから。