妊娠発覚からドクターストップで仕事を休み、私は時間をもてあました。

「ねえ、1度潤さんと悠里さんを自宅にお招きしたいと思うけれど、どうかなあ?」
「いいんじゃない」

「じゃあ、2人の予定を聞いておいてよ」
「わかった」


そう約束してから1週間。

「来週の土曜日なら2人とも大丈夫らしい。次の週は、悠里が婚約者の家族との食事会があるって言っていたから無理そうだしな」

「そう、じゃあ来週の土曜日にしましょう」

拉致事件をきっかけに結婚が決まって1ヶ月。嵐のように時間が過ぎていった。
幸いなことにうちの両親もあちらのご両親も私と鷹文の結婚を暖かく受け入れてくれて、幸せに過ごさせてもらっている。

しかし、そうなってみると気になるのは3人の過去。
そこは私には立ち入れない領域だから。
元カノである悠里さんのことも、はじめこそ嫌っていたけれど今ではすっかり仲良くなった。
潤さんとだって、出会いはお見合いだったけれど今では鷹文の友達としていい付き合いをさせてもらっている。
ただ気になるのは、悠里さんと潤さんの関係。
鷹文に聞けば、「悠里には婚約者がいるはずだから、口を挟むんじゃないぞ」っていわれるし。でも、彼女が潤さんを見る視線は友達のそれじゃない。
なんとかしたい。幸せになって欲しい。そんなことを考えていた。