「一華さん、鷹文、結婚おめでとう」
「「カンパーイ」」
鷹文と潤はワインで、私と一華さんは炭酸水で乾杯となった。

「私も少しなら飲めるのに」
文句を言ってみたけれど、

「ダメだ」
潤に却下された。

「どうしたんだよ潤、えらく機嫌が悪いな」

「怒らせるようなことばかりする奴がいるからな」

ふん。すみませんね。

入院中に胃カメラまでさせられて頭にきた私は潤のことを完全無視していた。
電話もメールもスルーしていたから、怒っているのよね。

「それにしてもひどい目に遭ったよな。もう体は大丈夫?」

私に話すときとは違い、一華さんには優しい潤に腹が立つ。

「ありがとう。もう大丈夫だから。心配かけてごめんなさい」

「仕方ない。逆恨みなんだから」
「それはそうだけれど・・・」

1ヶ月ほど前、仕事上の逆恨みに遭った一華さんは拉致され襲われそうになった。
間一髪の所を鷹文に救出され事なきを得たけれど、たまたまそのタイミングで妊娠が発覚してあっという間に結婚って運びになった。

「それにしても、鷹文が結婚するなんてね」

なんだか感慨深い。つい先日まで生きているかどうかすらわからなかったのに。

「何言ってるんだよ。悠里だって、もうすぐ結婚するんだろ?」
「まあね」

それはそうなんだけれど・・・まだよくわからない。