季節はもうすぐ冬。
あと1ヶ月もすれば、由奈が亡くなってから9年を迎える。
去年もその前も、命日になると私は潤とお墓参りに出かけていた。
それだけは欠かしたことがない。
「悠里さん、嫌いなものってありますか?」
カウンター越しに、一華さんが声をかける。
「いいえ、大丈夫。何でも美味しくいただきます。それより、私も何か手伝いましょうか?」
「じゃあ、冷蔵庫からチーズを出して下さい」
はいはい。
今日、私と潤は鷹文のマンションにお邪魔していた。
ここに一華さんも含めた4人がそろったのには訳があって、なんと、一華さんと鷹文が結婚を決めたのだ。それも一華さんの妊娠なんてうれしいサプライズ付きで。
もちろんそれにいたるまでには事件もあったわけだけれど、今は人生を踏み出した2人を素直にお祝いしてあげたい。そんな気持ちでやって来た。
「一華、無理するなよ」
心配そうな鷹文。
「大丈夫だから。それに、料理は簡単なものだけだし」
「十分だよ。俺たちに気を遣うことなんてない」
潤まで一華さんには優しい。
妊婦だからかな?なんだか悔しい。
「悠里、お前薬飲んだよな?」
はあ?なんで今?
「悠里さんどこか悪いの?」
ほら、一華さんが心配したじゃない。
「違うの。持病の喘息。少し前に発作を起こしたから、潤が心配しているだけなのよ」
「持病の薬を持ち歩きもせず、救急搬送されたお前が悪いんだろうが」
「もう、うるさい。休みの時まで医者の顔しないで」
「お前・・・」
「まあまあ、2人とも落ち着いて」
見かねた一華さんが間に入ってくれた。
先日の発作の時、私は潤を本気で怒らせてしまいひどい目に遭った。
生まれて初めて婦人科の検診を受け、マンモグラフィーで乳がん検診をするときには大きくもない胸をこれでもかと挟み込まれ泣きそうになった。そして最後は胃カメラ。
吐き気と戦いながら、もう2度と潤を怒らせないでおこうと心に誓った。
「ほら、大体そろったから運んでくれる」
「「ああ」」
今日は男性陣がテキパキと動いてくれる。
あと1ヶ月もすれば、由奈が亡くなってから9年を迎える。
去年もその前も、命日になると私は潤とお墓参りに出かけていた。
それだけは欠かしたことがない。
「悠里さん、嫌いなものってありますか?」
カウンター越しに、一華さんが声をかける。
「いいえ、大丈夫。何でも美味しくいただきます。それより、私も何か手伝いましょうか?」
「じゃあ、冷蔵庫からチーズを出して下さい」
はいはい。
今日、私と潤は鷹文のマンションにお邪魔していた。
ここに一華さんも含めた4人がそろったのには訳があって、なんと、一華さんと鷹文が結婚を決めたのだ。それも一華さんの妊娠なんてうれしいサプライズ付きで。
もちろんそれにいたるまでには事件もあったわけだけれど、今は人生を踏み出した2人を素直にお祝いしてあげたい。そんな気持ちでやって来た。
「一華、無理するなよ」
心配そうな鷹文。
「大丈夫だから。それに、料理は簡単なものだけだし」
「十分だよ。俺たちに気を遣うことなんてない」
潤まで一華さんには優しい。
妊婦だからかな?なんだか悔しい。
「悠里、お前薬飲んだよな?」
はあ?なんで今?
「悠里さんどこか悪いの?」
ほら、一華さんが心配したじゃない。
「違うの。持病の喘息。少し前に発作を起こしたから、潤が心配しているだけなのよ」
「持病の薬を持ち歩きもせず、救急搬送されたお前が悪いんだろうが」
「もう、うるさい。休みの時まで医者の顔しないで」
「お前・・・」
「まあまあ、2人とも落ち着いて」
見かねた一華さんが間に入ってくれた。
先日の発作の時、私は潤を本気で怒らせてしまいひどい目に遭った。
生まれて初めて婦人科の検診を受け、マンモグラフィーで乳がん検診をするときには大きくもない胸をこれでもかと挟み込まれ泣きそうになった。そして最後は胃カメラ。
吐き気と戦いながら、もう2度と潤を怒らせないでおこうと心に誓った。
「ほら、大体そろったから運んでくれる」
「「ああ」」
今日は男性陣がテキパキと動いてくれる。