「お前、変わったなぁ?」

2杯目のビールをそれぞれ空けたところで、鷹文がしみじみと私を見た。

「老けたって言ったらブツわよ」
「違うよ。いい女になったって言いたいんだ」
「はあ?」
何を言い出すかと思えば。

「結婚するんだろう?」
「うん、来年か再来年にね」

私の結婚はまだ先のこと。

「田川本部長ってできる人らしいじゃないか」
「うん、彼も鷹文のことを切れ者だって言っていたわ」
「ふーん。で、潤はどうするんだ?」
「潤?」

なんで今潤の話が出てくるのよ?

「この8年間誰よりもお前の側にいたのは潤だろう?」
「それはそうだけど」

私たちは友達で恋人とは違うから。

「自分が誰と生きていきたいのか、よく考えてみるんだな」
「何よ偉そうに」
「そうだな、俺が言える立場じゃないな」
「そうよ」

潤は、亡くなった私の友人由奈の恋人で、元彼鷹文の親友。
今さら異性としてなんて見られるわけがない。