その日のうちに、私は鷹文を呼び出した。

「ごめんお待たせ」
約束の時間を15分ほど過ぎて現れた鷹文。

「急にごめんね」
忙しいところ強引に呼び出してしまったのは私だから。

「いいんだ」
そうよね。私には負い目があるものね。

「彼女と、うまくいっている?」
「あ、ああ」
言う割に目が泳いでいるじゃない。

「それで、話って?」
「うん、そのことなんだけれど」

どう切り出そうかと悩んでいると、

「今回の件に浅井が関わっているってこと?」
鷹文の方から言ってくれた。
「うん」

やっぱり気づいていたんだ。

「私には信じられないけれど、おじさまが関わっているの?」
「そうらしいな」
鷹文は驚いた顔を見せない。

て事は、知っていたんだ。

「なんでこんなこと・・・」
「俺が言うことを聞かないからだろうな」

え?

「悠里にも潤にも黙っていたけれど、親父だけは俺の所在を知っていた。心のバランスを崩した俺に何も言わずに援助し続けてくれていたんだ」
「おじさまが」

考えてみればそうよね。
国内にいて、浅井の手の届かないところなんて実際ないのかもしれない。
それだけ浅井は大きいから。

「去年くらいからかな、父さんから頻繁に連絡が来るようになった」

ふーん。
これだけ元気になった鷹文を見て、おじさまも戻ってきて欲しいって思ったのね。
その気持ち、わからなくもない。