「お願い、教えて下さい」
鷹文に関わることと聞いた以上黙ってはいられない。

「君は知っているかなあ?今朝辺りから、鈴森を中傷する書き込みがネット上に上がっているんだ。それもかなりの数」

「え、知らない。それは、誰かが意図的にって事?」
「そうだと思う」
「そんな・・・」

私は急いでネット検索をしてみた。
本当だ。かなり強い言葉で鈴森を非難する書き込みが何件も上がっている。

「それに、」
律也さんが言いにくそうに言葉を止めた。

「何?」
まだあるの?

「今まで取引をしてきた企業から取引停止の申し出が複数でているらしい」

「取引停止って・・・」

もしそれが本当なら、会社としての危機じゃない。

「誰がそんなことを?」
「・・・」
律也さんは黙ってしまった。

でも、私にはわかる。律也さんは誰の仕業か気づいているはず。
じゃなきゃ、私に話したりしないと思うから。

「誰が裏で糸を引いているんですか?」
「それは・・・」

ジッと私を見る律也さん。

「教えてください」
ここまで聞いて知らん顔は出来ない。

「取引停止の申し出をしている企業は、みんな浅井の資本が入った会社なんだ」

えええ。
浅井コンツェルンが鈴森を攻撃しているって事?そんなバカな。
あるわけないじゃない。

「彼、かなり優秀らしいね」
「え?」

彼って鷹文の事よね。
それは、鷹文が関わっているって事?ないない、あるわけない。

でも、真っ直ぐに私を見る律也さんの目が1ミリも笑っていなくて、私は急に怖くなった。