完全なでき婚で、結婚を決めた私達。
財閥の跡取り息子である鷹文との結婚はどれだけ大変だろうと不安だらけだったけれど、いざやってみればそうでもなかった。
もちろん、そこには鷹文の私に対する配慮とそれぞれの両親の協力があったからに違いない。


逆恨みされホテルに連れ込まれたところを助け出された私は、偶然妊娠を知らされ鷹文からプロポーズされた。
その時点で、迷いはなかった。
この人を逃せば、結婚願望のない私は一生結婚なんてしないと思えたから。

妊娠に関しては、不安もあった。
知らなかったこととは言えお酒を飲んでしまったし、薬も飲まされた。
ただしそれに関しては鷹文がすごく心配して、何人ものお医者様に診察をしてもらい胎児への影響はないと診断が出た。
これは以上は無事健康な子が生まれることを願うしかない。

そして何よりもありがたいのは、

「一華さん、ありがとう。あなたのおかげでまた息子が戻ってきてくれた。鷹文のことは8年前に諦めていたんだ。ただ元気に生きていてくれればいいと思っていたのに・・・」
浅井コンツェルンのトップでもあるお父様が、私の手を取り涙ぐまれた。

「これからは2人で好きなように暮らしたらいいわ。私達はいくらでも協力しますから」
お姉さんにしかみえないお母様の言葉が私の背中を押した。

私の両親も結婚に反対はしなかった。
鷹文が浅井に戻るためにお父様が鈴森商事に仕掛けた嫌がられもきちんと詫びていただいたらしく、問題にはならなかった。

「相手が大きすぎて不安な気もするが、これだけ請われて嫁ぐのは本望だと思うぞ」
両親にも、お兄ちゃんにも言われ、もう躊躇いはなかった。

私は浅井鷹文の妻となる決心をした。

END