目が覚めると、そこは家でも病院でもなかった。

「おお、目が覚めたね」

優しく微笑んでくれるのは、鷹文ではなく白川さん。

「あの、ここって・・・」
「鷹文のマンションだよ」

ですよね。私にも見覚えがあるもの。

「白川さん、わざわざ来て下さったんですか?」
「と言うか、昨日から一緒に君を探していた」

はああ。
それは、

「ご迷惑をかけて申し訳ありません」
「いいよ。俺が好きでしたんだから。でも、無事で良かった。一応診察したけれど、これと言って怪我もないようだし、薬も抜けたみたいだからもう大丈夫だ」
「ありがとうございました」

白川さんにまで迷惑をかけてしまったんだ。

「じゃあ、鷹文の奴あっちで仕事をしているから、呼んでくるね」
「はい」


白川さんが消えてすぐに鷹文がやって来た。

「一華、大丈夫?どこか痛いところはない?」

心配そうに私を見ている。

「うん、平気。少し頭が痛いだけで、他はなんともないから」

アルコールが入っていたせいかな、夢でも見ていた気がする。

「心配かけて、ごめんね」
「バカ、お前は被害者だ」
「でも・・・」

今回のことは私の不用心。油断した結果。私にだってわかっている。

「ところで、今何時?」

外は明るいようだけれど、カーテンのせいでよくわからない。

「もうすぐ朝の10時だ。お前は半日ほど寝てたんだ」

そう、そんなに。

「会社は?」
「部長に休みの連絡を入れておいた」