「どうです、そろそろ酔いが覚めましたか?」
ベットに横になったままの私を見下ろす川本さん。

「私をどうするつもり?」
お酒に混ぜられた薬のせいで体こそ動かないが、声は出せる。

少しだけアルコールの抜けた私は川本さんに話しかけた。

「あなたを滅茶苦茶にしてやりたいんです。うちの会社はあなたに潰されたようなものですから」

そんな・・・。
それは完全な逆恨み。

「こんな事をすれば、事態がさらに悪化するだけでしょう?」
「わかっています。でも、あなたが許せない。あの部長が悪い奴なのも、それを止められなかったうちの会社に責任があるのもわかってはいるんです。でも、だからといって、取引先に手を回すようなやり方って、あんまりです」

言いながら、川本さんは泣いていた。

「ごめんなさい」

私は今、ここで謝るべきではないと思うけれど、彼の気持ちもわかってしまった。
彼の身に起きたようなことが、最近うちの会社でも起きたから。

ん?
って事は、今回の件って・・・
海山商事は規模こそ大きくないけれど、歴史のある老舗企業。取引先だって古くからの付き合い。
そこの間に入って手を回すようなことが、うちの会社にできたんだろうか?
いや、無理だな。と言うことは、