「さあ、着きましたよ」

3日ぶりに帰ったマンション。
守口と2人部屋に入ってはみたが、やはり一華はいなかった。
その間に何度も携帯を鳴らしたが、出てもくれない。

「困りましたね。一緒に出かけるようなお友達とかいないんですか?」

友達ねえ。
とりあえず、小熊と橋本さんに聞いてみるか。
さすがに萩本さんの連絡先は知らないから、小熊にメールを送り確認してもらうことにした。
後は・・・そうだ。
ピコピコと携帯を操作し、

「もしもし」
『おお珍しいな、どうした?』
突然の電話に驚いた声をあげたのは、俺の幼なじみ。

「潤、お前一華と一緒か?」
『はあ?』

そうだな、いきなりすぎるよな。

『どうした、一華ちゃんと喧嘩か?』
「いや、連絡がつかないんだ」

どうやら、潤と一緒ではないらしい。

「すまない、もう少し探してみるから」
『ああ。俺も心当たりを聞いてみる』
「悪いが、頼む」
『気にするな。それより携帯はつながらないのか?』
「ああ、コールはするが出ないんだ」
『そうか。コールするんならGPSで探せるんじゃないか?』

ああ、そうか。

「潤、ありがとう。また連絡する」
『ああ、頑張れ』

からかうように言われ、ムッとした。
一華のことになると、なぜこうも動揺してしまうのか。自分でも情けない。
普段ならすぐに思いつくことがすっぽり頭から抜けるなんて。

「白川の坊ちゃんとも、お友達ですか?」
ここで潤の名前が出てきたことに守口が驚いている。

「まあな」
友達どころか、潤のお見合い相手だったって言えば、どんな顔をするだろう。

「なあ守口、あいつの携帯をGPSで探せるか?それも大至急に」
「承知しました。すぐに手配します」

さすが敏腕秘書。この後守口の動きは速かった。
電話で数カ所に連絡をすると、10分後にはおおよその居場所を突き止めてくれた。