多少でも飲んでしまった俺は車の運転をできるはずもなく、守口に乗せてもらって動くしかなかった。

「まずはどこへ行きますか?」
「そうだなあ、マンションに向かってくれ」

きっといないだろうが、とりあえず行ってみよう。

「向かった先に心当たりはないんですか?」
恋人なら知っているんじゃないのかと言いたいらしい。

「さあな」
つい不機嫌になった。

「付き合っているんですよね」
「まあな」

「どんな方ですか?」
興味津々で聞いてくる。

どんなって言われても・・・

「一途で、無鉄砲で、目を離すと何をするかわからない」

「どこが良いんですか?」
呆れられた。

確かにな。
でも、好きになってしまったんだ。

「誰にでも誠実だし、不器用なほど裏表がないし、1度決めたら絶対に諦めない。俺にないものを持っているんだ」

ククク。

「あなたもそんな顔をするんですね」
おかしそうに笑う。

ああ、もう。好きなだけ笑え。
一華に関わる時、俺は自分のたがが外れるんだ。自分でも自覚がある。