その日の夕方、仕事用の携帯が鳴った。
「はい。鈴木です」
『ああ、俺だ』
はあ、俺ねえ。
名乗らなくっても、相手はわかった。
私の3歳年上の兄。そして、この会社の専務でもある鈴木孝太郎だ。
うーん、今すぐ電話を切りたい。
『聞いてるのか?』
「はい」
聞きたくはないですが。
『ちょっと来い』
「今ですか?」
『そうだ』
「でも・・・」
今、山通から帰ってきたばかりで、事務処理だって残ったままなのに。
『すぐに来い。5分以内だ』
プツン。
電話は一方的に切れた。
はあー、どうしたものかしら。
大体の用件はわかっているし。夜自宅に帰れば嫌でも顔を合わせるわけで、わざわざ呼び出す意味がわからない。でもなあ、行かなければまた電話してくるわよね。今度はきっと内線で堂々とかけてくるはず。そんなことをされれば、身分を隠して働いている私としては困ってしまう。
仕方がない。
「ごめん、ちょっと外すね。何かあったら電話して」
可憐ちゃんにだけ声を掛けて、私はそっと席を離れた。
「はい。鈴木です」
『ああ、俺だ』
はあ、俺ねえ。
名乗らなくっても、相手はわかった。
私の3歳年上の兄。そして、この会社の専務でもある鈴木孝太郎だ。
うーん、今すぐ電話を切りたい。
『聞いてるのか?』
「はい」
聞きたくはないですが。
『ちょっと来い』
「今ですか?」
『そうだ』
「でも・・・」
今、山通から帰ってきたばかりで、事務処理だって残ったままなのに。
『すぐに来い。5分以内だ』
プツン。
電話は一方的に切れた。
はあー、どうしたものかしら。
大体の用件はわかっているし。夜自宅に帰れば嫌でも顔を合わせるわけで、わざわざ呼び出す意味がわからない。でもなあ、行かなければまた電話してくるわよね。今度はきっと内線で堂々とかけてくるはず。そんなことをされれば、身分を隠して働いている私としては困ってしまう。
仕方がない。
「ごめん、ちょっと外すね。何かあったら電話して」
可憐ちゃんにだけ声を掛けて、私はそっと席を離れた。