さあこの後どうしよう。
本当は鷹文に会いたいんだけれど忙しくてそれどころではなさそうだし、家に帰る気分でもない。
行くあてもなく、駅へと向かう通りをフラフラと歩いた。

考えてみれば私は寂しい人間だ。こんな時に誘う友達1人いないんだから。
もちろん、学生時代にはたくさんの友達がいた。
小学校から大学までの付属校だったから、その分親しい友達だって多かった。
でも、28にもなればみんな結婚していって、夜急に呼び出して出てきてくれる人なんていない。女友達なんてそんなもの。
それに、今夜付き合ってくれそうな友達を捜し当てられたとして、鷹文のことは話せない。
結局、1人でいるしかない。

やっぱりおとなしく家に帰ろうかなあ、それもしゃくに障る。
お兄ちゃんの顔を見たらまた喧嘩になりそうだしな。
そんなことを考えながら歩いていると、

「あれ、鈴木さん?」
突然声をかけられた。